小児矯正
小児矯正とは
Ⅰ期治療とは
Ⅰ期治療では、顎の成長をコントロールすることで、歯が綺麗に生えるためのスペースを確保します。
具体的には、顎を広げる装置や、歯の傾きを調整する装置などを用いて、将来的な歯並びや噛み合わせの改善を図ります。
Ⅰ期治療のメリットは、永久歯を抜かずに矯正できる可能性が高まることです。
また、正しい噛み合わせを獲得することで、顎関節症や発音障害のリスクを軽減できる場合もあります。
さらに、顔の歪みを予防し、バランスの取れた成長を促す効果も期待できます。

Ⅱ期治療とは
主に12歳以降に開始し、通常の成人矯正と同様の装置を用いて、歯並びと噛み合わせを細かく調整していきます。
Ⅰ期治療で顎の骨格を整えている場合は、歯を抜かずに治療できる可能性が高まります。
また、治療期間も短縮できる場合が多いです。
Ⅱ期治療では、
- 叢生(歯が重なっている状態)
- 上下顎前突(出っ歯)
- 反対咬合(受け口)
- 開咬(奥歯で噛んでも前歯が噛み合わない状態)
など、様々な歯列不正に対応することができます。
美しい歯並びと正しい噛み合わせは、見た目の美しさだけでなく、虫歯や歯周病の予防、発音や咀嚼機能の向上にも繋がります。

このようなことはありませんか
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歯並びがガタガタに見える
歯が並ぶスペースが少ないことで、歯並びがガタガタになってしまうケースです。
顎の骨を本来の広さまで拡げることで改善させます。 -
口呼吸が多い(お口ポカン)
上顎の成長不全に伴い歯並びが悪くなることはもちろんのこと、鼻腔のスペースも不足します。
この場合、鼻呼吸が難しくなり鼻詰まりも多く引き起こします。
それにより口呼吸が常態化します。
また口の周りの筋肉や舌の筋肉が弱いことも口呼吸の原因となります。 -
歯が重なって生えている
歯の一部分が重なっている歯並びも、歯が生えるスペースが足りないことによって生じる事例です。
こちらの場合も、顎の骨を本来の位置まで拡げる必要があります。 -
鼻詰まりが治らない
お口ポカンの原因として先に述べたように顎の成長不全は鼻腔の空気の流れを悪くします。
鼻炎持ちと言われるようになり鼻詰まりをよく起こします。
鼻呼吸がしにくいので仕方なくお口で呼吸をせざる得なくなります。
当院の小児矯正の特徴
特徴1いわゆる床矯正、マウスピース型の矯正ではありません
なぜなら床矯正は、顎の骨格自体を広げることが難しいケースもあるからです。
そのため、顎が狭く歯が並ぶスペースが不足している場合、床矯正だけでは十分な効果が得られないことがあります。
また床矯正は、いわゆる可撤式の装置と言われるもので、患者さん自身で取り外すことが可能です。
小さいお子さんの場合、取り外し可能であるがゆえに入れている時間が規定より短くなってしまったり、うまく装着できていなかったゆえに十分な力を骨格に与えられず効果が発揮できないというケースも存在します。
これらが理由で、当院では床矯正を採用しておりません。
特徴2本来の大きさまで顎を拡げる治療
上顎に装着する固定式の装置で、ネジを回すことで顎の骨に力を加え、徐々に骨格を広げていきます。
床矯正と異なり、確実に顎の骨まで影響を与えることができることが特徴です。
歯を傾斜移動させるのではなく、顎の骨格自体を広げることで、歯が自然に並ぶスペースを作ります。
これにより、二期治療の際に歯を抜かずに矯正できる可能性が高まり、より理想的な歯並びと顔貌を獲得できます。
特徴3確実性の高い矯正手法の選択
お子さんの場合、取り外し可能な矯正装置の場合、確かな矯正効果を得るために必要な装着時間を守ることができず、矯正が失敗に終わる場合があります。
特に子供の矯正の場合は、顎の骨の成長に合わせて実施するので、その成長期を逃してしまうと十分な効果を得づらくなります。
そのため当院では、確実な矯正効果を得るために取り外しができない固定式の矯正装置を然るべき時期に実施することを推奨しています。
これにより自己管理によるバイアスをなくし、確実な矯正効果を得られるようになります。
特徴4筋機能療法による指導
なぜなら、小児矯正では、歯並びを整えるだけでなく、将来にわたって健康な口腔機能を育むことが大切だからです。
小児矯正では、以下のようなメリットを得ることができます。
- 悪習癖の改善
- 顎の成長促進
- 舌や唇の正しい位置の獲得
- 呼吸、嚥下、発音機能の改善
- 矯正治療の効果を高める
また当院では、筋機能療法に関するトレーニング方法も直接指導させていただいております。矯正装置とトレーニングを併用して、より高い矯正効果が得られるように取り組んでおります。
小児矯正の流れ
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1初診相談
まずは、お子様の歯並びや噛み合わせの状態、気になることなどを伺います。
治療に対するご希望や疑問点など、お気軽にご相談ください。 -
2精密検査
CTやレントゲンによる撮影、歯型採取、口腔内写真撮影などを行い、お子様の歯並びや顎の骨格の状態を詳しく分析します。
検査結果に基づいて、適切な治療方針を決定します。 -
3診断・治療計画の説明
検査結果を分析し、診断結果と治療計画をわかりやすくご説明します。
治療方法、期間、費用などについて、ご納得いただけるまで丁寧にご説明いたします。 -
4Ⅰ期治療(6歳~12歳頃)
顎の骨の成長を利用して、歯並びの土台を整える治療を行います。
主に、固定式のスケルトンタイプの矯正装置を用いて、顎を広げ歯の生えるスペースを生み出していきます。 -
5成長観察
Ⅰ期治療後、永久歯が生え揃うまで、定期的に観察を行います。
顎の成長や歯の生え変わりをチェックし、必要があれば治療方針を調整します。 -
6Ⅱ期治療(12歳以降)
永久歯が生え揃った後、成人矯正と同様の矯正装置を使用して、歯並びを細かく調整します。
より理想的な歯並びと噛み合わせを目指します。 -
7保定
矯正治療が完了した後、後戻りを防ぐために保定装置を装着します。
保定期間は、個人差がありますが、一般的には2~3年程度です。 -
8定期的なメンテナンス
保定期間終了後も、定期的に検診を受け、歯並びと口腔内の健康を維持しましょう。
小児矯正のメリット
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顎の骨を本来の形に矯正することができる
大人になってからでは矯正が難しい顎の骨格も、成長期のお子様なら、小児矯正で本来のあるべき形に整えることが可能です。
顎の骨が柔らかく、成長段階にあるお子様だからこそできる矯正治療です。
この時期に矯正を行うことで、様々なメリットがあります。
- 理想的な歯並びを目指すことができる
- 顔の歪みを予防することができる
- 全身姿勢にも良い影響がある
- 健やかな口腔機能の発達を促進できる
- お子さんの自信を獲得できる可能性が高まる
このように顎の骨を正しく本来的な位置まで拡大することで、多くのメリットを享受することができます。 -
成人矯正の際に抜歯するリスクを減らすことができる
「将来、お子様が歯を抜かずに矯正治療を受けられたら…」そう願う親御さんは多いのではないでしょうか。
当院の小児矯正は、お子様の顎の成長を利用して歯並びを整える治療法です。
この時期に矯正を行うことで、顎の骨を十分に広げ、永久歯がきちんと並ぶスペースを確保できます。
その結果、成人矯正の際に歯を抜歯するリスクを大幅に減らすことが期待できます。
そのため「矯正治療期間の短縮」「矯正治療費用の軽減」などのメリットも期待できます。 -
歯の意識を高め、悪い習慣を減らすことができる
小児矯正は、歯並びを整えるだけでなく、お子様の歯に対する意識を高め、将来の口腔内の健康に繋がる良い習慣を身につけることにも役立ちます。
具体的には、以下のようなメリットがあると考えられます。1. 歯磨きの習慣化
矯正装置を装着することで、歯磨きへの意識が高まり、丁寧に歯を磨く習慣が身につきます。
虫歯や歯周病のリスクを減らし、健康な歯を維持することができます2. 悪い癖の改善
指しゃぶりや舌で歯を押す癖など、歯並びに悪影響を与える癖を改善することができます。
また、筋機能療法を取り入れることで、口周りの筋肉を鍛え、正しい舌の位置や飲み込み方を習得することができます。3. 口呼吸の改善
口呼吸は、歯並びだけでなく、顔の成長や健康にも悪影響を及ぼします。
小児矯正では、顎を広げることで鼻呼吸を促し、口呼吸の改善を促します。4. 食生活の改善
矯正治療をして口元がキレイになったとはいえ虫歯になってしまっては元も子もありません。
矯正治療中は調整のため1〜2ヶ月に1回お口を拝見しますが虫歯リスクの高いお子様に対しては食事指導をいたします。
このことをきっかけに、お子様の食生活を見直し、バランスの取れた食事を心がけるようになるケースも多いです。5. 定期的な歯科受診
矯正治療中は、定期的に歯科医院に通院することになります。
これにより、お子様は歯医者さんに慣れて、定期的な検診を受ける習慣を身につけることができます。
小児矯正のデメリット
デメリット1治療期間が長い
永久歯が生え揃うまでの期間、顎の成長に合わせて治療を進める必要があるため、数年単位の治療期間が必要となるケースがあります。
デメリット2一般的に装置によっては自己管理・親の管理が必須
例えば、取り外し可能な装置の場合、決められた時間きちんと装着することが治療の成功に大きく関わってきます。
しかし、遊びや勉強に夢中になるあまり、装着を忘れてしまったり、嫌がって装着しなかったりするケースも少なくありません。
その結果、期待していた効果を得られず失敗に終わってしまう場合もあります。
そのため、当院では自己管理の必要の少ない固定式の装置を推奨させていただいております。
デメリット3Ⅱ期治療まで必要なケースがある
Ⅰ期治療で顎を広げることで、歯の生えるスペースを確保し、抜歯矯正のリスクを減らす効果が期待できます。しかし、Ⅰ期治療だけで理想的な歯並びを達成できるとは限りません。歯並びの状態や顎の成長具合によっては、永久歯が生え揃った後に、ワイヤー矯正などのⅡ期治療が必要となるケースがあります。
しかし、Ⅰ期治療をしておくことでⅡ期治療の際に歯を抜くリスクを軽減できたり、その治療期間を短縮できるメリットがあります。